大阪の賑やかな街を少し離れた住宅街で、私は毎日を慌ただしく過ごしている。夫は朝早くから夜遅くまで仕事、子供たちは男の子と女の子、毎日がまるで運動会みたい。掃除、洗濯、ご飯の支度。気づけば一日が終わっている。そんな私にとって、毎月届く花の定期便は、まるでご褒美のような存在だ。
きっかけは、近所のママ友との立ち話だった。「最近、なんか毎日同じことの繰り返しで、ちょっと疲れてるんよね」と私がこぼすと、「花、飾ってみたら?気分転換になるで」と教えてくれた。その時、初めて「花の定期便」というものを知った。毎月、家に花が届くなんて、ちょっとした贅沢やん、と思った。でも、心のどこかで「試してみたい」という気持ちが芽生えた。
初めて花が届いた日は、子供たちも「なにこれー!」と大騒ぎだった。ポストに届いた大きな箱を開けると、見たこともないような、鮮やかな花たちが顔を出した。ピンクや黄色、赤、紫…まるで万華鏡みたいに、キラキラ輝いている。その花たちを、まずはリビングのテーブルに広げてみた。子供たちは「きれい!」「すごい!」と目をキラキラさせていた。
花と一緒に同封されていた説明書を読むと、花の名前や特徴、水揚げの方法などが丁寧に書かれていた。これなら私にもできそう、と少しだけ自信が湧いてきた。花瓶に水を張り、茎の先を少し切って、花たちをそっと挿していく。子供たちも手伝ってくれた。普段はケンカばかりしている二人も、この時ばかりは、協力して、花を飾るのを楽しんでいた。
最初に届いた花は、ダイニングテーブルに飾った。それまで少し殺風景だったダイニングが、まるでカフェみたいに、パッと明るくなった。花があるだけで、こんなにも雰囲気が変わるなんて、ほんまに驚きやった。
それからというもの、毎月届く花の定期便が、私の毎日の楽しみになった。月に一度、花が届く日が待ち遠しくて、まるで子供の頃に楽しみにしていた運動会の日みたい。ポストを開ける瞬間、箱を開ける瞬間、花を飾る瞬間。一つ一つの動作が、小さな幸せの積み重ねのように感じられる。
届く花は毎回違う。バラやカーネーションなどの定番の花から、名前も知らない珍しい花まで、その時々の季節を感じさせてくれる花たちが届く。説明書を読んだり、インターネットで調べたりして、花の名前や花言葉を知るのも楽しい。子供たちも、花の名前や花言葉を覚えるのが得意になった。
花が届くと、まず最初にすることは、どの花瓶に飾るか考えること。和室には、少し落ち着いた色の花を、リビングには、明るい色の花を。子供部屋には、可愛らしい花を。それぞれの部屋に合う花を選んで、飾っていく。花を飾る場所によって、部屋の雰囲気も変わるから、毎回、新鮮な気持ちになる。
家事の合間に、花を眺める時間が、私の癒しの時間になった。洗濯物を畳みながら、庭の花を眺める。子供たちが学校に行っている間、コーヒーを飲みながら、花を愛でる。花を見ていると、心が穏やかになる気がする。
忙しい毎日でも、花を見ると、心がフワッと軽くなる。子供たちが宿題をなかなかしない時や、夫が残業で帰りが遅い時も、花を見ていると、少しだけ心が落ち着く。花は、私にとって、単なる飾りではなく、心のオアシスみたいな存在になった。
休日の朝は、子供たちと一緒に、花を飾るのが日課になった。子供たちは、花の名前を教え合ったり、アレンジメントを考えたり。花を通して、家族のコミュニケーションも増えた。
時々、花を写真に撮って、SNSにアップしたりもする。「いいね」や「コメント」をもらうと、ちょっとだけ自慢げな気持ちになる。ママ友との会話も、花の話で盛り上がるようになった。
花を飾るようになってから、私自身も少しずつ変化してきたように思う。以前は、毎日に追われるだけだったけれど、今は、花を通して、小さな幸せを見つけるようになった。花を眺めたり、花瓶を変えたり、花の写真撮ったり。そんな日常の些細なことに、喜びを感じられるようになった。
それに、花って、不思議と人に優しくなれる魔法があるみたいだ。部屋に花があるだけで、心に余裕が生まれるのか、イライラすることが減った。子供たちにも、以前よりも、優しく接することができるようになった気がする。
毎月届く花の定期便は、私にとって、単なる「お花のサブスク」ではない。それは、生活に彩りを添え、心を豊かにしてくれる、魔法の箱だ。
大阪の風は、毎日少しずつ違うけれど、花は、その季節に合わせて、いつも美しい姿を見せてくれる。花を眺めながら、私は、これからも、家族みんなで、笑顔で過ごしていきたいと思う。
これからも、私は、花と一緒に、大阪の街で生きていく。きっと、毎日が、もっともっと、彩り豊かになるはずだ。もし、この記事を読んでいるあなたが、少しでも花の定期便に興味を持ったなら、ぜひ試してみてほしい。きっと、あなたの毎日も、花のように、色鮮やかに輝き出すはずだから。